戦場カメラマンとは
渡部陽一さんなど、バラエティ番組で人気が出た方がいることで耳にする機会が増えた
「戦場カメラマン」という仕事。
戦場カメラマンとは
戦争や紛争が起こっている地域で、戦場の様子を記録、もしくは作品を新聞社や雑誌社に販売などするカメラマンのことで、軍に同行して活動する場合は従軍カメラマンとも呼ばれます。
常に死と隣り合わせの危険な仕事で、捕らえられ殺害されてしまうことも。
過度のストレスによる精神病や睡眠障害に陥ることも多く、劣悪な衛生状態による病気、食料の不足による空腹などの危険性もはらんでいます。
場合によってはニュースなどの現地特派員としてレポートを行う事もあり、冷静に情報を伝える技能も求められる事もあります。
戦場を渡り歩くにあたって必要なこと
「優先順位としては、危機管理が第一、取材が第二」
日本で一番有名であろう戦場カメラマン"渡部陽一"さんがこう語っています。
「できる準備をどれだけしておくのか。自分が取材にいく理由や任務を、どれだけ具体的に伝える事ができるのか。
何かあったときの責任を、どうした入り口につなげていくのか。その段取りを組んでおくこと、伝えておくこと、整えておくことが大切です。」
必ずガイドの言葉に従うこと、取材を欲張らないこと、退く勇気を持つこと。
これが、戦場カメラマンにおいて最大のウェイトを占めています。
取材活動のすべてを100パーセントとすると、そのうち80パーセントは、取材の段取りや準備、何かが起きたときの避難経路を複数確保しておくことだそうです。
残りの20パーセントは、現場での撮影技術であったり、動き方。
この危機管理を徹底させることが、自分自身の恐怖心を克服する最大のポイントです。
収入はいくらくらい?
戦場カメラマンが収入を得るには大まかに分けて3つのパターンがあります。
1つは、依頼を受けずに
フリーの立場で戦場へ出て、撮った写真を買い取りしてくれる雑誌や報道局などに売るパターン。
同時に複数に売り込めるメリットがありますが、経費は自分持ちです。
次に、
雑誌の企画として戦地へ行くケース。
経費は定額までは負担してくれますが赤字になるおそれもあります。
3つ目は雑誌などの
専属契約で、経費を全額出してもらえるうえ、原稿料も貰えるパターンです。
これが金額的には一番ですが、イラク戦争のような注目度の高い戦争か、カメラマン自身が高い評価を受けている時に限られます。
また、会社員契約の場合は、月給制で成果報酬がなく、撮った写真の版権が会社のものになります。
媒体ごとにページ単価や写真単価が変わりますから、具体的にどれだけすればこれだけ貰える、といった基準はありません。
『戦場のハローワーク』などの著者でもある戦場カメラマンの加藤健二郎さんは駆け出しの頃で
年収が40〜50万、そこから段々と上昇していき
8年目頃からは年収400万前後。
イラク戦争など、
注目度の高い紛争や戦争が起こっていた時は700万円を超えたこともあるそうです。
この他にも数年後に資料として写真が買い取られたり、写真集を出版。海外での経験を基にした講演会などを開く人も。
一時はテレビに出ずっぱりだった渡辺陽一さんも、最近では海外に取材に行っていない間はほとんど全国を周り、
戦争の悲惨さを説いた講演活動をされているそうです。
「戦場カメラマンの一番の願いは失業することだ」世界で最も有名な戦場カメラマン、ロバート・キャパの言葉です。
現在、日本人で現役の戦場カメラマンは、20〜30人程度。
確かに危険な仕事ですが実際に戦地に赴き、実情を伝える仕事というのは収入以上にやりがいにあふれた
「大人の仕事」といえるでしょう。