鳶(とび)職人とは、建設現場の作業員の中でも高所での作業を中心に行う仕事。
危険が伴う仕事であるため、強い集中力と経験、技術が求められます。
携わる作業によって建設現場の足場を組む
「足場鳶」、鉄骨造の建物の骨組みを組み立てる
「鉄骨鳶」、建物内部の大型機械などの重量物の据え付けなどを行う
「重量鳶」と分けられることもあります。
鳶職人になるための専門の学校などはなく、基本的に学歴を問われることはありません。
鳶職人のほとんどは中学、高校卒業後土工などの建設会社で見習いとして働き始め、見習いの間は先輩から現場で教わりながら仕事を覚えていきます。
年功序列は存在せず、自分の腕前が全ての実力重視社会で、若い職長が年上の鳶職人の上に立つこともよくあります。
法律で
18歳未満の者の高所作業が禁じられている為、見習いの間は地上での作業を覚えていきます。
高所で機敏に作業する鳶職人の姿はしばしば建設現場の華ともいわれるほどですが、その反面地上何十メートルにもなる高所での作業は
落下事故の危険と常に背中合わせ。
高いところに上がる際は必ず命綱としてのロープと、それを支持物に固定するためのフックなどから構成されている安全帯というベルトをするのが規則。それでも危険であることに変わりありません。
そのため、鳶職人は
常に緊張感を持ち、神経を集中させながら作業に臨んでいます。
鳶職人に必要とされるものはまず、
根性と体力。身体を使った厳しい仕事ですので、どちらもなければ続きません。
加えて高い所での作業が多い仕事ですので、高所に対しての恐怖がないことも重要になってきます。
ただし、これは慣れの部分も大きいので極端な恐怖症でなければ問題ないでしょう。
見習いや一人前の職人に成り立てのころは、職長や先輩職人の指示によって動くだけですが、徐々に
判断力や創造力が求められてきます。
足場鳶も鉄骨鳶も、図面を読み取り建築物をイメージし、次の行程を想像しながら、効率よく作業を行わなければいけません。
途中経過も想像し、その場その場の作業イメージに合わせた
適切な判断力も必要とされます。
鳶職人は建設現場で働く作業員の中でも、危険性、専門性が高いため過去は比較的高額な収入が得られていました。
現在鳶職人の給料の多くは、固定給ではなく
日給月給制を採用。
経験や実力によって、日給が異なり、実際に仕事をした日の分だけ給料が支払われます。
日給は、見習いで
7000円から10000円程度、普通の鳶職人で
10000円から14000円。
職長クラスで、
12000円から18000円といったところが多いようです。
ボーナスがあることは少なく、基本的には働いた日数×日給が月給となります。
年収ベースでは、普通の鳶職人で
300万円〜400万円台、若い職長クラスで
400万台〜500万円台ぐらい、熟練の職長クラスで
500〜600万円程です。
会社に所属していても、国民年金、国民健康保険を自分で払い、確定申告を行う必要がある場合があります。また、作業着も自前といったことも少なくありません。
なので
実際の収入はこれよりも更に少ない金額となります。
足場や鉄骨、重機などは建物が完成した際にすべて撤去されるため、
目に見える形で鳶職人の仕事が残ることはありません。
しかし、完成した建造物を見たとき、鳶職人の胸には
何にも代えがたい達成感や満足感を感じることができるといいます。
また、鳶職人の仕事が不十分であれば、工事中に重大な事故を引き起こし、その後の作業が停止してしまうこともあります。
この大きな責任こそ鳶職人が自身の仕事に誇りを持つことができる理由なのでしょう。