アスリートから男前な精神を学んでいくコラム。第12回は水泳の北島康介さんから「本番に対する姿勢」について学びたいと思います
経歴:北島康介
1982年9月22日、東京都荒川区生まれ、5歳の頃から水泳を始めます。
高校3年で2000年シドニーオリンピックに初出場し、4位に入賞。
2004年アテネオリンピックでは100m、200mの平泳ぎで金メダルを獲得します。
2008年北京オリンピックでも両種目で金メダルを獲得し、競泳での日本人唯一の2種目2連覇を達成。
2016年4月に現役を引退し、スイミングスクール「KITAJIMAQUATICS」を設立。
2017年現在では、東京都水泳協会の理事を務めています。
日本屈指の「負けず嫌い」
高校時代、腕相撲でムキになり、勝ったものの右腕を負傷してしまったという北島さん。
「勝負強い」というイメージがある北島さんですが、「そうじゃなくて、勝ったから言われるだけ。勝つまでやるから。」と自身で語っています。
「負けたことが悔しいから必死で練習を頑張る。負けは自分が強くなれるチャンスだし、自分もたくさんの負けを糧にしてきたからこそ、ここまでやってこれた気がします」と負けることの大切さを重視。
「負けることは悪いことではない」「じゃあ次は何ができるだろうってポジティブに考えるほうが楽しい」。
負けることを受け止める強さ、負けることを勝つためのプロセスとして受け止める「生粋の負けず嫌い」の姿こそが強さにつながっていると伺えるエピソードです。
練習はダメでも試合は勝てる
そして勝負において重要なのは「フィジカル」より「メンタル」だと述べる北島さん。
フィジカルが強くても弱気な人はいるし、練習で強くても試合で勝てない人もいる。
勝負をするのは「人」ですから、多少の差はメンタルで補うことが出来ると言います。
そのときの調子は、当日になってみないと分かりません。
北島さんは実際に水に入って、予選を泳いでみて初めて、「今日の自分はどれだけやれるか」を確認しているそうです。
フィジカルの調子が良くても、メンタルで負けて前に進めないこともあります。
だからこそ、メンタルは「常に前向き」で、空元気であってもポジティブに考えて行動するのが大切。
どんな時でもまっすぐ上を目指す北島さんの生き方は、正に「男前」ですね!
割り切ることも大事
現役を引退し、コーチとして活躍しだした北島さんは、指導者としてもカリスマ性を発揮していきます。
リオ五輪金メダルでもある萩野公介選手が不調続きの時、北島さんは「0か100かじゃなく、割り切ることも必要」と萩野選手に告げます。
完璧を求めるのも大切だけど、無理に100を出そうとしてバランスを崩してしまうより、今ある自分の体調や力量をしっかり把握して、それを全部出し切れる方がきっと良くなると助言。
仕事でも結果を出そうとしたときに0か100かで考えてしまう人というのは少なくないのではないでしょうか。
そんな時はこの言葉を思い出して、まず今できる事をやりきる、という風に割り切ってみたほうが意外にいいものができたりするかもしれませんね。
現役を引退しスーツを着た北島さんは、現役時代に設立した会社の業務をこなす傍ら、「水泳人」として自身の泳ぎをデータ化して次世代に残す取り組みに協力するほか、水泳教室の運営を通じて泳ぐことの喜びを伝えていっています。
これから先の自分がどんな自分になるのか、始まったばかりのセカンドキャリアが「楽しみで仕方ない」という北島さん。
現役選手を退いてなお魅力を増していく北島康介さんの生き方を見習い、常に前向きな「男前」になっていきましょう!