バックパッカーとなり、世界中を旅する…男の夢のひとつですよね。
今ひそかなブームとなり年々注目されている1人旅にお勧めのスポットを紹介していくコラム
『大人の男の一人旅』。
第8回目は、アンデス山脈のアルゼンチン側に位置する山・アコンカグアで見ることができる"氷の剣山"
「ペニテンテ」を紹介したいと思います。
アコンカグアは、南米最高峰の山とも呼ばれ、天候や季節で難易度を大きく変える山としても有名なスポットです。
◆アコンカグアの場所や交通手段は?
アコンカグアは、チリとアルゼンチンにまたがるアンデス山脈にあります。
まずは成田空港などからアルゼンチンのメンドーサまで乗継便で約32時間。
航空料金は往復で約30万円程度かかります。
もしくは、さらに1日程かかりますが、アルゼンチンのブエノスアイレスやチリのサンチアゴを経由すれば航空券は20万程まで下がるので、時間に余裕のある方はそれらからバスでメンドーサまでいく方法もおすすめです。バス代は1万円あれば十分足ります。
また、アコンカグアには入山料としてUS$100〜300が必要です。
入山前にはメンドーサでの
入山手続きが必須なので注意してください。直接アコンカグアへ向かっても登山することはできません。
◆登山の前に準備
まずは宿を確保
まずは最寄のメンドーサにて、拠点となる宿を確保しましょう。
おすすめは、メンドーサの中心にあり、登山者が多く利用しているユースホステル
「Hostel International Campo Base」。
もちろん高級なホテルでゆったりと疲れを癒すのもいいですが、ここなら登山前にいろいろと相談したり仲間ができたり、登山口までの移動方法も多数計画できます。
また、郊外になりますが日本人が経営している
「民宿アコンカグア」もおすすめです。多くの日本人が滞在している上、経営者から登山のアドバイスを受けることも可能なようなので、海外に慣れていない人はこちらがベターかもしれません。
宿泊しながらしっかりと登山に必要なものを購入し、万全の準備をしておきましょう!
なおメンドーサはワインが有名で、世界シェア4位のアルゼンチン産ワインのうち約7割がここメンドーサで作られています。
街中に
ワインの噴水なんてものもある程。ぜひ登山後にはワインを堪能してください!
高度順応に注意
登山の期間は2週間ほど確保しておくのがいいでしょう。
なぜならアコンカグアは特別難易度の高い山というわけではありませんが、標高6,962mと非常に高所への登山となるため、「高度順応」が必要になるからです。
「高度順応」とは、高山病を予防するために数日かけて低酸素環境に適応する行動です。
まずは一気に登らず、500〜1000m高い場所へ登ってしばらく滞在したら戻ります。次は半日、その次は1泊と、徐々に時間を延ばしながら、低酸素の環境に慣れていきます。
これを繰り返し、時間をかけて高い標高を目指すことで、高山病になるリスクを軽減できます。
登山の熟練者(高度順応のために事前に軽く富士山に登るような人)であれば1週間ほどでアコンカグアを登頂できるようですが、通常は2週間ほどかけて登るのがベター。無理をせず、確実な登頂を目指しましょう。
◆いざペニテンテ!
準備や注意点などを把握できたら早速登山に挑戦しましょう。
「高度順応」にさえ気をつければ、傾斜は緩やかなため、雪の草原に囲まれながら登る景色を楽しんで登山できます。
まさに絶景 ペニテンテ
標高4000m程度まで登ると、アコンカグアのような特殊な環境でしか見られない自然現象を見ることができます。それがこの
「ペニテンテ」と呼ばれる氷の針が花のように広がった絶景です。
「ペニテンテ」は、標高の他、気温が常に氷点下、日光がよく当たる、冷気を帯びた風が常に吹いているなど、様々な状況が重ならなければその姿を現しません。
しかし、未だ正確なメカニズムは解明されていないそうです。
このペニテンテは、地面から伸びているように見えますが実際は積雪した雪が「谷」をつくるように溶けて起きた現象です。
一旦「谷」ができると、太陽熱の反射や風の影響で、まるで刃を磨くかのように鋭く深くえぐれていきます。
溶けて凍ってを繰り返しているため、かなり硬度も高いので近くでふざけたりしたら本当に危険です。
絶景の山頂
ペニテンテの景色を堪能したら、あとは山頂を目指しましょう!
山頂からは、白銀に輝く大岩壁や吸い込まれそうなほど澄んだ青空の絶景を見ることができます。ペニテンテとはまた違う感動を体感できること間違いないでしょう!
◆ペニテンテの由来
この不思議な自然現象「ペニテンテ」ですが、この言葉の由来は、とんがり帽子を被って懺悔する聖者を意味するスペイン語です。
復活祭では、とんがり帽子をかぶった人々が市中を行進するのですが、その光景にそっくりです!
また、ペニテンテの第一発見者はダーウィンと言われています。
ダーウィンが1835年3月22日、チリの山岳地帯を通過する際、雪のペニテンテが形成された一帯についての記述した文献があるそうです。
記述には、ペニテンテに貫かれた凍った馬を発見したとのこと……。恐ろしい……。
◆まとめ
一目で絶景と感じられる"氷の剣山"ペニテンテ。
その感動は4000m以上登山してこそ味わえる景色だからかもしれません。
厳しい環境の中その姿を形成し、大きいものでは4mを超えるものもあるそうです。そんな自然が成す造形美をぜひ一生のうちに見てみたいものです。