役所広司はなぜ「ビール俳優」になったのか?
役所広司(62)が今春からアサヒビールの新商品「アサヒ グランマイルド」のテレビCMに出演している。矢野顕子が歌うBGMに乗って、瑛太とともにソファで真面目に談笑したり、じゃれあったりする姿が映し出される。瑛太との初共演や、大貫妙子の楽曲を矢野顕子がカバーしたことで、注目が集まっている。
しかし、それ以上に業界関係者の注目を集めているのが、役所の「ビール俳優」という側面だ。役所といえばこれまで、サッポロビール「ヱビスビール」やキリンビール「一番搾り」のCMに出演してきた。一番搾りのCMには2000年、2014年と2回出演。広告業界きっての“ビール俳優”といえるだろう。
「同業他社のCMに出ると批判が起きるタレントもいるなか、役所は別格。あの眼力と顔力はインパクトがあるので、企業側としても『やっぱりビールならこの人』となるのでしょう。それぞれのビールのCMも役柄や演じ方が違う、工夫されているので視聴者も気にならないのでしょう。またこれまでスキャンダルなどもなく、安心して起用できる“キレイ”な俳優というところもポイントだと思います」(芸能リポーターの川内天子氏)
一方、CM業界ではどう見られているのか。関係者の一人は言う。
「ビール人口が多い日本において、そのCMといえば各企業の顔となります。それを3社にまたがって起用される人は実は珍しい。役所さんの場合、ビールのCMの契約が切れたら、別のメーカーからのオファーが来ると行った状態です。しかもサントリーのウイスキーのCMにもでていたので、4大酒造会社を制覇していることにもなりますよね。ちなみに、瑛太さんもキリンビールのCMにいくつか出演してきたので、“次世代のビール俳優”といえるかもしれません」(CMディレクター)
酒造会社のCMはシリーズで続くことも多く、一度ヒットすると何度も同じ人にオファーが来ることも多いようだ。確かに、イチロー(44)や福山雅治(49)、檀れい(46)などのCMは印象に残ってる人も多いかもしれない。
「役所さんがいろんな所で起用される正確な理由は定かではないですが、とにかくおいしそうに飲むんですよね。それ以外にもDAIWAハウスなど、ナショナルクライアントのCMをたくさんこなしていますし、好印象の俳優であることは間違いない」(同)
たしかに役所といえば、いわずもがな日本最高峰の役者だろう。映画への作品も数知れず。5月12日からは主演を務める『狐狼の血』も公開された。俳優になる前はもともと公務員だった役所だが、仲代達矢の舞台に感銘を受け、仲代主宰の俳優養成所「無名塾」に入塾。元役所勤務ということでその芸名が付いたと言われている。デビューしてから、あまたの映画やドラマに出演し、存在感を放ってきた。
「役所さんは個人事務所に所属していて、奥さんが社長を務めています。出演する芝居もすべて自分たちで決められるんです。大手事務所のしがらみがなく“芸能行政”とは無関係なので、とにかくこの役は役所さんに、という純粋なキャスティングでのオファーになる。それも主演だけじゃなく、3枚目もいけますから、出演本数も伸びるでしょう。さらに一説によると、どんな小さな舞台でもスケジュールさえあれば断らないと言われています。もちろんカメオ出演(ほんの短い間の出演)ですが。実際無名の映画にもちょっとした役で出演していたりするんです。若手の役者にも気さくに話しかけてくれるような人です」(民放ドラマプロデューサー)
今や国内だけでなく、海外の作品にも出演する役所広司。ブラッド・ピットやキーラ・ナイトレイなどハリウッドの大物俳優たちとも共演を続けるうえに、国際映画祭での受賞も多い。CMだけではなく、テレビやドラマでも彼を見ない年はないというほどの活躍ぶりだ。「同じくハリウッドで活躍してた渡辺謙さん(58)が不倫問題でミソが付いてしまっただけに、さらに1段上がって見られるかもしれません」(同)という分析もある。
スキャンダルからも無縁な役所広司の好感度はとどまることを知らない。今後も、映像作品やCMに出演し続けていくだろう。まさに男前道に立っている!!