脳波やジェスチャー操作も!!
ここまで進化した “未来を感じる”クルマ
脳波やジェスチャーで操作できる――そんなクルマの未来を自動車メーカー各社が描いている。ここ数年で自動運転技術を始め、通信機能を備えるコネクテッドカーとその周辺技術はさらに発展し、未来を感じるクルマたちが数多く登場してきた。
ITmedia NEWSでは、EV(電気自動車)メーカー大手の米Tesla(テスラ)最量販モデル「モデルS」の乗り心地を「自動運転」の切り口からレビューした。既に高速道路での運転サポートという観点では自動運転システムは有用なものになっているといえるだろう。
一方、運転手がハンドルに触れる必要のない「完全自動運転車」の実現を巡っては、識者の中でも意見が割れており、「2020年代前半くらいに、自動運転もしくは自動運転にほぼ近いようなシステムが出てくる」という予測もある。
これから、未来のクルマはどうなっていくのか。2018年3月までに発表されたコンセプトカーやクルマ関連技術を振り返る。
ドライバーの脳波を検知 「ニッサン IMx KURO」
運転手の脳波から違和感を検出し、思い描く運転になるようサポートするとうたうのが、日産自動車が「第88回ジュネーブ国際モーターショー」(3月18日まで、スイス)で公開したEVのクロスオーバーコンセプト「ニッサン IMx KURO」。
「東京モーターショー2017」(10月、東京ビッグサイト)で世界初公開したコンセプトカー「ニッサン IMx」を改良し、「黒」をテーマにデザインを一新。完全自動運転(レベル5相当)を実現する他、クルマに任せて運転できる「プロパイロットドライブモード」を選ぶと、ハンドルを格納し、シートをリクライニングするという。
運転手が着用したヘッドセットから脳波を計測。ハンドルを回す、アクセルペダルを踏むなどの操作をする直前に発生する脳波(行動準備電位)を検出し、操作を始める0.2〜0.5秒前にクルマ側のシステムが動作することで運転手の反応の遅れをカバーするとしている。自動運転時も脳波を計測し、違和感のない自然な制御の自動運転にカスタマイズできるという。
目的地まで自動運転
トヨタのSUVコンセプト「Lexus LF-1 Limitless」
目的地までの運転操作をクルマ側が担う自動運転技術を採用するのが、トヨタ自動車が「2018年北米国際自動車ショー」(米デトロイト、1月14日〜2月28日)で世界初公開したクロスオーバーSUVのコンセプトカー「Lexus LF-1 Limitless」だ。スムーズな走行を実現、交通事故の低減をサポートするという。
ドライバーのジェスチャーを検知して操作できるモーションコントローラーや、直感的なディスプレイ表示などのインタフェースを採用するのも特徴。ナビゲーションには時間の概念を導入し、車両や交通状況に応じ、休憩やレストランでの食事、ホテル予約などを提案するとしている。
同社は25年ごろまでにエンジン車のみの車種をゼロにする方針を発表しており、今回のコンセプトカーもガソリンエンジンやハイブリッドに加え、プラグインハイブリッド(PHV)、電気(EV)や燃料電池(FCV)を含めたパワートレーン(動力を駆動部に伝える機構)の搭載を想定している。
クルマは声で操作する時代?
世界最大級のテクノロジー展示会「CES 2018」(米ラスベガス、1月)で注目を集めたのが、声でクルマを操作するボイスインタフェースの技術。運転中はハンドルから手を離せないため、音声操作は相性が良く、声で操作できるカーナビゲーションシステムなども商品化されている。
CES 2018では、パナソニックが車載インフォテインメントシステム(In-Vehicle Infotainment:IVI、情報と娯楽を提供する情報システム)で、米Amazon.comとGoogleをパートナーに迎えることを明らかにした。
今後発売する製品にAIアシスタントの「Alexa」と「Googleアシスタント」を搭載。AIやディープラーニング(深層学習)の技術を取り込み、クルマが運転手の行動を先読みしながら運転をサポートできるようになるとしている。
AmazonとGoogleは、共に車載インフォテインメントシステムのために開発したAIプラットフォームをパナソニックなど複数のパートナーと連携しつつ開発を進めているという。CESのカンファレンスでは、音声で車内エアコンを設定するデモを披露。両社共、オフライン環境でもエアコンの操作やパワーウィンドウの開閉など車内設備を音声で操作できる機能を実装するとしている。
欧米ほど、インターネットに常時接続されたコネクテッドカーが普及していない日本では、オフライン環境での音声操作が実現できれば、運転はより快適になるだろう。
事故減らす「認識技術」にも注目
またCES 2018では、トヨタ自動車の米子会社Toyota Research Instituteが自動運転車のプロトタイプ「Platform 3.0」を出展。周囲200メートルの環境を立体的に捉えるLIDAR(LIght Detection And Ranging)システムを備え、全方位を認識できる。
これまで同社の実験車は前方のみを認識していたが、米Luminar製のLIDARを搭載し、外周360度の認識が可能に。肉眼では見えにくい暗い色の物体を含め、車両の周囲を正確に検知できるという。子どもや道路上の障害物など低く小さい対象物を捉えるLIDARも、車両下部のフロントフェンダー両側、前後バンパーの四隅に装着した。
外観はスマートに仕上げ、自動運転技術の装備もコンパクトにまとめ、複数の実験車を容易に作れるようにしたという。
周辺の環境を認識する車載システムは、三菱電機が1月17日に、車載カメラの映像を運転席のモニターに映す「電子ミラー」向けに、クルマの後ろから近づく車両を認識して表示する技術を開発したと発表。
人間の視覚のメカニズムを応用したのが特徴で、映像全体から周囲と比べて輪郭が目立つ部分を優先して注目し、クルマを検出。ディープラーニングを使って車種(トラック、乗用車、バイクなど)まで判別するとし、運転手に注意を促すことで車線変更時などの事故防止につなげるとしている。
クルマといえば”男のステータス”これからの時代どう変化していくのだろうか?