第48回目となる今回は、あの有名な「三国志」をモチーフにし、乱世の奸雄とも呼ばれた魏王
「曹操孟徳」を主役にした『蒼天航路』から男前を学んでいきたいと思います。
原作は李學仁(イ・ハギン)氏、漫画を王欣太(キング・ゴンタ)氏が担当し、従来の三国志では「劉備」に対峙する悪役的立ち位置として描かれていた「曹操」を主役に据え、独自の解釈も加えた大胆なストーリー、そして圧倒的画力で描いたキャラクターによる「衝撃のネオ三国志」として人気を博しました。
蒼天航路に登場する熱い漢たちが語る言葉は、現代の日本に生きる我々にとっても刮目すべき意味が多分に含まれています。
オトコマエたるもの、この漫画は必読と言えるでしょう。
ならばよし!
○オトコマエポイント
二十歳になり北部尉(北門の警備隊長)に着任した曹操は、治安の乱れを北部城門から正すとして厳しい条例を定め、これを犯したものは誰であっても厳罰に処するとしました。
そんなある日、皇帝に仕える大官の「蹇朔(けんさく)」が禁令をないがしろにし、条例を破ります。
普段なら通じるであろう脅しや賄賂は曹操には全く通じずに、偉い役人だろうと棒叩きにしますが、わずか1打擲を受けただけで、蹇朔は悶え苦しみ死んでしまいました。
高い位につく人間を殺してしまったことに怯える曹操の部下たちが死んだことを報告すると、清々しく応えた曹操の言葉がこれ。
相手が権力者であろうとも何も意に介していないような、なんとも言えない爽やかな顔で言い放っています。
脅しやワイロに惑わされず自分の道を真っすぐ歩き、自分の命令とはいえやりすぎた部下を叱ることもなく、自分自身への揺るぎない自信と度胸を備えたオトコマエになりたいものです。
俺の戦いは至弱より始まる
○オトコマエポイント
三国志の始まりのきっかけとも言える「黄巾の乱」討伐に向かう曹操軍。
数万の黄巾賊に対して1万ほどの兵を用意した袁紹と、2000人程度の兵で向かおうとする曹操が袁紹に放ったセリフです。
袁紹は家柄も才能もあるが、いわゆる「堅実な男」で、名門のバックボーンから兵を集め、兵も常に鍛えているから戦にも強い。
激戦区を避けているから兵を消耗することも無く、勝てる戦だけを選んでいるから無難に手柄を立てていっています。
しかし曹操はこの時駆け出しであまり兵を集めることはできませんでした。
そんな曹操を見かねて袁紹は早々に兵の手配をしてやりますが、その時曹操が言ったのが「俺の戦いは至弱より始まり、そして全ての敵を崩し、やがて至強をも倒すに至る」というセリフ。
現代のサラリーマンに例えるならエリートコース確定のコネ社員と、叩き上げのヒラ社員といったところでしょうか。
結果を伴わなければただの大言壮語ですが、結果的に人の才能を見出し、人の心を動かすことができた曹操が乱世の覇者となりました。
地位があっても弱者の事を理解しなければ真の強者にはなれません、ビジネスにおいても部下の心をキッチリ把握したデキる上司になりたいものです。
敗北にこそ、才が必要だ
○オトコマエポイント
「失敗は成功の母」という言葉と意味はほとんど同じですが、それをこのような言い回しに曹操という人物のセンスが現れています。
定軍山の戦いに破れ陽平関に逃れてきた張郃。
その増援としてやってきた曹操に謝罪した際に言われたセリフです。
「敗戦の中で、何をどれだけ見いだすことができるのか。「歴戦」の価値はその能力で決まる。」
「おのれを、雄大な絵柄の緻密な織物と見なせ。その将器に一戦一戦を入念に織り込み、生涯をかけて仕上げるのだ。」
と続き、自身を織物に例えよという台詞は、まさに文化的な才能を数多く有していた曹操ならではの言葉。
ただ多くの戦いをしてきた者ではなく、多くの失敗を経験し、その中から数多くのことを学んできた者こそが歴戦だという、人の才能を愛するが故の重みのある言葉だと言えるでしょう。
まとめ
曹操、劉備、孫権(そんけん)の三人の中で、「最も人間に興味を示した英雄」として描かれる曹操。
「唯才是挙(ただ才のみこれを挙げよ)」と掲げ、出自身分や経歴に関わらずに才能あるものは用いるとしました。
「乱世の奸雄」として知られる曹操ですが、「蒼天航路」を読めばきっとその印象も変わると思います。
他の登場人物も、それぞれの個性が活かされて魅力的に描かれており、「三国志は初めて」という方でも人間味あふれるドラマを楽しめるので、みなさんも是非「蒼天航路」を読んで、「オトコマエの精神」を身に着けましょう!