皆さんはちゃんと絞めた魚を食べたことはありますか?
通常、魚は死んでから約2〜3時間ほどで死後硬直が始まり、そこから先は徐々に身が痛んでいき、いずれ腐ってしまいます。
たとえば、午前中に釣った魚をクーラーに入れておき、夕方家に帰り捌いて食べるとします。
この場合、お昼頃にはクーラーの中で死後硬直が始まり、夕方までにはかなり時間が経過する為、食べる頃にはとても新鮮とは言えません。
その日に釣れた魚なので新鮮と言えば新鮮かもしれませんが、魚本来の味を楽しむには処理が甘いです。
そこで、皆さんに覚えてもらいたいのが今回紹介する
『神経絞め』です。
道具が必要だったり、最初は少し難しいかもしれませんが、コツさえ掴めばいつも新鮮な魚を食べることができる素晴らしいテクニックなのでぜひチャレンジしてみて下さい!
ちなみに、以前紹介した川魚の捌き方は
こちらの記事を参考にして下さい。
神経絞めとは
そもそも神経絞めとは何なのか?
上にも書いたように、魚は死んでから時間が経つとどんどん痛んでいきます。
その過程を細かく書くと、絶命→死後硬直開始→完全硬直→硬直解除→腐敗という風になります。
絶命する事で、「自分は死んだ」という情報が神経を伝って全身に流れることで死後硬直が始まります。
この「絶命から死後硬直開始まで」の時間を遅らせるテクニックが『神経絞め』。
神経を絞める事で、魚が「自分は死んだ」という情報を体に伝える時間を遅らせることができます。
通常の脊髄を切断するだけの「活け絞め」では2〜3時間で死後硬直が始まりますが、そこに加えて「神経絞め」を行うことで、死後硬直開始までの時間を20〜24時間ほどに遅らせることができます。
これだけ時間に余裕ができれば、朝釣った魚も、帰ってから食べる時間まで十分新鮮なままです。
活け絞めと血抜き
神経絞めをする際には手順があり、これを疎かにするとせっかく釣った魚が傷付いたり、生臭くなってしまします。
まずは「活け絞め」
活け絞めというのは、魚に余計な負担をかけずに瞬殺する方法です。
これは魚を自分で捌くという人はほとんどやったことがあると思いますが、エラの付け根あたりに包丁を入れて脊髄を切断するやつですね。
ただし、神経絞めをするにはこの方法はあまり向いていません。
神経絞めを行う際に脊髄の断面を露出させることになるので見た目がボロボロになってしまいます。
そこでオススメの活け絞めが「脳絞め」と呼ばれるものです。
手鉤やT字スパイク、アイスピックなどを使って、魚の眉間から側線側に向かって針を刺すことで魚の脳を破壊します。
これにより魚に負担をかけることなく一瞬で絶命させる事ができ、体の外傷も眉間の穴一つに留まります。
次に「血抜き」です。
当たり前ですが、魚は絶命しても体内に血が残っています。
これを抜いておかないと、臭みとなってしまうので身にもよくありません。
エラの付け根、腹側の太い血管をしっかり切ることで大量の血が流れます。
この時、尻尾の付け根辺りも切っておくと血抜きが早くなるのと、神経絞めの際に髄液の出口として役立ちます。
神経絞め
いよいよ神経絞めです。
脳絞めの際に開けた穴から針金を入れます。この時、針金の長さや太さは魚の大きさに合わせて調節して下さい。
断面で見ると分かりやすいと思いますが、背骨の少し上辺りにある小さな穴、これが魚の脊髄です。
ここに針金を入れることで、神経をこそぎ取り、「自分は死んだ」という情報が体に伝わらないようにするのです。
脳絞めで開けた穴を利用する時は、もちろん断面が見えないので最初の内はなかなか脊髄を探し当てる事が難しいかもしれませんが、入った時には反射的に魚の体がビクビクするのですぐ分かります。
脊髄を捉えたら、針金を前後に動かしながら脊髄の神経を取り除いていきます。
魚がビクビクしなくなったら完了です。
クーラーで持って帰っておいしく調理しましょう。
今では神経絞め用の針金も釣具屋さんで売ってるのですぐ揃えられますよ。
最近は圧縮した空気を撃ち出して、神経絞めする道具もあるみたいなので一度見てみたいなと思っています。
いかがでしたか?
神経絞めした魚とそうでない魚を食べ比べてみたら雲泥の差です。
自分でも覚えてみようと思うはずですよ!
何事も最初は難しいものですが、美味しい魚を食べられると考えればすぐに出来るようになります。
ぜひチャレンジしてみて下さい!!