スペイン、バルセロナの「サグラダ・ファミリア」と言えば、あのアントニ・ガウディの未完の建造物として有名です。
1882年から着工し、アントニ・ガウディの没後も建築は続いています。
そんな中、30年以上もの間、サグラダ・ファミリアで働き、ついには主任彫刻家に成った日本人がいることをご存知でしょうか?
今回は世界遺産でもあるサグラダ・ファミリアで活躍する
『外尾 悦郎』さんから仕事術を学びます!
外尾 悦郎
小さな頃から、考えるよりも先に心が反応する方向へと進んでいた外尾さんは、ある時工事用の石を見て
「石を彫りたい」という気持ちに駆られ、それまで働いていた美術教師を辞めて単身フランスへ旅立ちます。
しかし、完成された石の街にでは、自分が石を彫っている想像ができず、ドイツに向かう為の電車を待っていました。そこでふと温かい太陽の光を浴びたくなって南向きの列車に飛び乗り、たどり着いたのがバルセロナでした。
翌日、街を探索していると、砂煙を上げる石の協会の工事現場に行き当たります。そこで外尾さんは「これだけ石があるし、建築中なんだから一つぐらい彫らせてもらえないか」と頼み込みました。
これがサグラダ・ファミリアとの出会いだそうです。
行動派というか考えなしというか…(笑)
それでも、これぐらい自分が気になった方向へ全力で走れるのは、とても素晴らしい事だと思います。
同じ方向を見ること
外尾さんはサグラダ・ファミリアで働き、ガウディを知れば知るほど彼との溝が深まっていったと言います。
それは自身がガウディばかりを見ていて
ガウディの見ている方向を見ていなかったからだとも言っています。
彼を見ることをやめ、彼が見ている方向(未来)を見ることにした時、何かが変わったそうです。
自然とガウディが何を作りたかったのかが理解できるようになり、「最もガウディに近く、心を受け継いだ者」と呼ばれ、主任彫刻家にまで登りつめたのです。
これは、会社と言う組織の中でも言える事で、上司ばかり見ていても良い仕事は出来ません。
上司と同じ未来を共に見据える事が大事なのではないでしょうか?
後世に情熱を伝える
ガウディはサグラダ・ファミリアを建築する際、図面を使っていなかったそうです。
当時、図面を読めないと石堀りになれないと言われていた習慣を取り払い、一人一人にしっかりと説明することで、自身の想いや考えを伝えていき、それを受け継いでくれる将来の希望を育てていたのです。
外尾さんもガウディの意思や想いを受け継ぎ、またそれを後世に残していこうとしています。
図面やメモだけでは伝わらないことは言葉や仕事で伝えていけると外尾さんは考えます。
個人の仕事だけでなく、後輩の事も考えて指導してくれる上司がいたら自分も頑張ろうと思えますね。
いかがでしたか?
外尾さんには行動力だけでなく、完成の見えない作品を数十年に渡って作り続ける忍耐力もあります。これは、その仕事が好きだからに他なりません。
自分がやりがいを感じられる仕事をした時、人は自身が思っている以上のパフォーマンスを発揮できるのではないでしょうか?