好きなものは、ありますか?
子供の頃のおもちゃ、好きな音楽のレコード…大小の差はあれど誰しも何かを集めたことはあるのではないでしょうか?
『コレクション』に情熱を注ぎ、世界一の蒐集家と呼ばれる人たち。今回は世界一の『美術品コレクター』エリ・ブロードさんを紹介したいと思います!
エリ・ブロードさんは1933年にニューヨークのブロンクスで生まれ、6歳の時デトロイトに引っ越しミシガン州立大学を卒業。
20歳の時に当時の
最年少記録で公認会計士の資格を取得し、建設会社を創業。この業種としては初となるニューヨーク証券取引所への上場を果たします。
1970年代には保険業界に進出し、所有していた保険会社を業界最大手のAIGに売却して財を成しました。その後も建築事業などは継続し、今では世界有数の富豪となった
「アメリカンドリーム」の体現者です。
妻とともにブロード財団を設立すると、
全米の大学に1000億円を超える莫大な寄付を行うなど慈善家と知られるブロードさん。
世界有数の美術品コレクターとして知られてており、毎年多数の美術作品を購入しては世界中の美術館や大学へ作品を寄贈しています。
数々の美術品を寄贈し、ロサンゼルス美術館内にブロードさんから寄贈された作品のみで構成された
「ブロード現代美術館」やミシガン州立大学内に
「エリ&エディス美術館」なんていう施設が出来てしまうほどのコレクションを収集していましたが2015年、ついに自らの収集品のみを展示した美術館、その名も
「The Broad(ザ・ブロード)」を開設。
ブロードさんのコレクション代表作2000点が収蔵され、戦後からの現代アートを主軸に展示。
「ベールと保管庫」というコンセプトで、床面積はなんと12万平方フィート(約11,150u)、
総工費1億4000万ドルという巨大な美術館。
そして更に驚くべきポイントは「ザ・ブロード」の
入館料は無料。入館予約なども不要で誰でもどんな時にでもブロードさんの世界的なコレクションを観に行くことができます。
「ザ・ブロード」のさらなる魅力の一つが、
徹底的にトレーニングされたスタッフたち。
フロアスタッフたちは、単なるアート好きから修士号取得者まで18歳から80歳と幅広く、作品やアーティストについての知識だけではなく、
心臓マッサージや人工呼吸などの緊急時の対応や、セキュリティ能力まで身につけています。
英語が分かる方なら気になる作品について質問などをしてみれば、楽しさは倍増するでしょう。
実業家であり、慈善家であり、蒐集家でもあるエリ・ブロードさん。
単に大金でアート市場を賑わすというだけではなく、コレクションを管理するキュレーターを雇用し、マーケットから作品購入を手がけるアートコンサルタントを雇い、美術大学や美術館に寄付や寄贈を行うことで多くの人々を巻き込んだ活動進めている、まさに
「世界最高のコレクター」ですね。