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07月17日 |
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長年ゆすられ続けた男を殺してしまった女・奈美と、彼女を助けようと事件に巻き込まれていく男・紅次郎とのねじれた純愛を描いた、石井隆監督作品『ヌードの夜』。その公開から17年。主人公・紅次郎の新しい物語『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』が完成した。紅次郎を演じるのは、もちろん前回と同じく竹中だ。そもそも『ヌードの夜』という作品が生まれたことも、竹中の強い思い入れが影響している。
「僕がまだ青年座という劇団にいたころ、ゴミ箱に『ヌードの夜』と書かれた台本が捨てられてたんです。いいタイトルだなぁって拾い上げたら、僕に来た仕事だと言う。でもロマンポルノはやらないって断ったよって。ちょっと待って。ロマンポルノだろうが何だろうが、映画はみんな一緒だよ復活してくれってお願いしたんです」
だが、その作品は『天使のはらわた 赤い眩暈』へとタイトル名が変更。ヌードの夜というタイトルが忘れられなかった竹中は、数年後、ヌードの夜というタイトルで撮って欲しいと石井監督にオファーをする。そうして完成したのが、17年前に公開された『ヌードの夜』だ。そして、今作の公開も、竹中のオファーがきっかけのひとつだった。
「ヌードの夜っていうタイトルでまた絶対映画をやりたいねって監督と話してました。ただ石井さん、いろいろ撮ってましたからね。僕もちょこちょこ呼ばれてたのもあったし。そしてやっと、石井さんの世界が大好きだって言ってくれた人が集まって撮れたのが、あれから17年経ったときだったんですね」
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今作は、石井監督独自のネオ・ノワールな世界観はそのままに、17年前の事件から世捨て人のように生きてきた、なんでも代行屋・紅次郎が、さらに複雑な事件へと巻き込まれてしまうストーリーだ。
「情けないな男の話ですね。強い男じゃないし。だいたいヒーローって、いざとなったときに立ち向かって行きますけど、そういうことも一切ない。逃げてますからね」
そんな、決してスーパーヒーローとは言いがたいキャラクターの次郎だが、美しい娘・れん(佐藤寛子)の奇妙な依頼に応じるうち、彼女が抱える“闇”を知り、彼女を救おうと試みる。罠にはめられていると気づきながらも、それを許してしまう次郎。あまりにお人よしな性格すぎるのか、愛の強さ故なのか。見ているとはがゆくもなる。
「れんに引っ張られてゆく部分もあるんじゃないですかね。この世界を捨てるって言うか、共に堕ちていくような‥。そんな世界かな。実際は、そんなこと分析して演じてはいないんですが」
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役を分析しないのは、この映画に限らず竹中の役者としてのスタンスだ。
「台本は本当に読み込まないですね。話の流れを知ってて演じるのが嫌いなんですよね。普段は明日のこと分からないで生きているのに、演じるときにそれを把握してるって嫌じゃないですか。役は、ある種不安定な状態でないと。自分の中で答えを出さないというか、見えないものに向かう楽しさっていうのかな。台本読み込めば、どうしても自分の世界観やビジョンを作ってしまうでしょ。こうした方がいいって工夫しちゃうじゃないですか。大切なのは瞬発力というか、本番で感じるものが撮られるだけだと思うんです。それが重なっていって、ひとつの役を生むというか。役を理解するのは観客だと思うので、役者が役を理解した時点で終わりだなってすごく思いますね。だから役作りという言葉も嫌いなんです」
なるほど。正論ではあるが、あらかじめ台本を読み込むこともなく現場に向かい、本番中の空気だけを頼りに演じるとは、よほどの勇気と集中力がいりそうである。
「集中力はいりますね。無意識というか、“あれ、何やってたんだっけ今?”っていう状態になるのが、一番面白いだろうなって思います。何もできないところから始まるしかないというか。頑張るとかの次元にいかないことなんじゃないかな」
それは、まさに竹中が役に憑依するタイプ、天性の役者ということなのだろう。
「いや、天性じゃないと思う。俺この仕事ハマってるなって思ったことないし。やっぱり傷つくこと多いし。だいたい人生なんて、傷を重ねて生きていくことだろうと思うし、その中にちょっと喜びが入って来るだけだと思うので。たぶん、周りの人を思う気持ちなんじゃないですかね。映画はひとりじゃできないですから、石井監督が大好きだとか、そういう気持ちを大切にしていることが自分を支えていくんじゃないかなって思うんですけどね‥って、別に心がけているわけじゃないんだけど。当たり前のことだから」
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人を思いやり、人と共に作品を作っていく。すると、どんな仕事でも「セッションしている感じ」が生まれるのだという。
「気心の知れた人たちと、初めて会う人だって、直感的に通じ合えるものってあるだろうから、それがそのまま形になっていく時間は楽しいですね。それって、さらけ出しちゃう瞬間なのかもしれないですね。こうしよう、ああしようっていうのは邪念でしかなくて、そのときにいる自分がそのまま出てもいい気がするんですよね」
竹中が人好きであることは、竹中が思う男前像を聞いて一層明らかになった。
「ひとりでごはん食べてる男の人見ると男前だって思う。ひとりでラーメン食べてるおじさんとか、ひとりでチャーハン食べてる男の子とか。俺は淋しくて、ひとりでごはん食べられないから。お酒もひとりで飲みたくないし。みんなと飲んでる方が楽しいし。だからカウンターなんかに座って、ひとりでお酒飲める人は男前ですね。それも姿勢の悪い人の方がいいな。胸張って“ビールうめぇ!”て言って、堂々と笑顔で生きているやつよりも、ちょっと飲んではおいしいって小さくつぶやいてる男。暗いじゃん! ってなっちゃうけど、俺にとってはそういうやつの方が男前だな」
さすが、名監督、名役者。“男前”という突然のお題に対しても、イメージが具体的である。そして、その男前像は、『ヌードの夜』の紅次郎にも少し通じるものを感じた。
「前向き前向きって言われている世の中ですが、たまには、背を向けているヒーローがいても悪くないんじゃないかと思います。石井隆版『無能の人』って感じで。石井さんの映画って、男と女が堕ちていく印象があるので、そのイメージがすごく好きです。俺は私生活では堕ちて行きたくないですけどね。元気に生きていたい(笑)」
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竹中直人さんのサインが入ったポスター(非売品)を1名様にプレゼント。
ご希望の方は、件名に、「ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う」プレゼント希望と明記し、住所、氏名、年齢、電話番号を書いて、10月31日(日)までにsite@inlifeweb.comまで、どしどしご応募ください!
※当選の発表は、商品の発送をもって代えさせていただきます。 |
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