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特集> 男前の条件 > 有名人が語る男前の条件「金子昇」
有名人が語る男前の条件「金子昇」イケメン俳優の登竜門といっても過言ではない “戦隊モノ”。金子昇も、01年に『百獣戦隊ガオレンジャー』で主演を務めている。瞬く間に人気を集め、その後もドラマ・映画・舞台・バラエティと幅広い分野で活躍。2010年5月公開の映画『苦い蜜〜消えたレコード〜』では、主演である探偵役を好演。そんな金子が考える男前の条件とは?
会話だけでここまで情報が詰まった映画は他にない。
(C)2010『苦い蜜』製作委員会
(C)2010 『苦い蜜』製作委員会
それにしても集中力と想像力のいる映画である。金子昇が主演を務めた映画『苦い蜜〜消えたレコード〜』のことだ。密室&会話劇で、おまけに犯人像が二転三転する複雑なミステリー。テンポ良く会話する14人の言葉だけをヒントに、謎解きをしていかなければならない。集中して登場人物たちの声に耳を傾け、状況を想像しながら観なければ、あっという間に置いていかれてしまいそうだ。
「会話だけでここまで情報が詰まった映画は他にないですよね。僕は台本を読んでいましたけど、監督の解説があって“ああ、なるほどね!”と思ったところが多々ありましたし、観直してみて “そことそこがつながっていたのか!”と気づいたところもありました。何度も観てもらえる作品になっていると思います」
金子昇
 密室劇の舞台となるのは、シックな英国調でまとめられたビートルズ・バー「リボルバー」。壁には、ビートルズのアルバム14枚のレコードジャケットが飾られている。そのうちの1枚『イエスタデイ・アンド・トゥデイ』のジャケットは、幻の貴重盤と言われる“ブッチャー・カバー”。発売直前に回収されたため、数百枚だけしか市場に出回っていない高価なコレクターズ・アイテムだ。このアルバムが突然消失したことで、犯人探しが始まるわけだが、そのストーリーとは別に、ビートルズファンであれば画面の隅々からビートルマニア度がチェックできる映画でもある。大学を卒業するまでバンドをやっていたという金子もビートルズには思い入れがあるらしい。
「僕が役者になろうと決めたのは、ビートルズがデビューする前を描いた『バック・ビート』という映画を観たのがきっかけなんです。ビートルズ役を演じている人たちがすごく楽しそうに演奏してるんですよ。役者なのに、音楽も楽しそうに演奏してて、役者って楽しそうだなと思って興味がわいたのが最初です。自分が楽しみながら何か生活できるんだったら一石二鳥でいいじゃんみたいな」
 この映画では、オープニングで元オフコースで日本のビートルズ・コピー・バンドの草分け「バッド・ボーイズ」のポール役だった清水仁や日本のグループサウンズ(GS)ブームの最高峰を極めたザ・タイガースのメンバー森本タローらが出演している。ビートルズファンはもちろん、GSファンにも見逃せない。
クランクイン2日前までニューハーフやってました。
金子昇
金子昇
 そんな中、この映画で金子が演じているのは探偵。“ブッチャー・カバー”を盗んだ犯人に仕立てあげられた友人の無実を証明するためにバーに現れ、鉢合わせした13人の人物から意見を聞き出し、まとめていく役割を担っている。
「探偵役なので最初は“ザ・探偵”みたいに演じた方がいいかと思ってたんですけど、周りのキャストさんたちが個性ある役を演じていたので、監督とも話して、僕はそれをまとめる方に回ろうと。淡々と話を進行する司会役に徹していました」
そんな役回りのせいか、映画の中での金子は、いつもの凛々しい顔立ちや引き締まったスタイルとはどこか違う、柔和で優しいイメージが漂っている。
「実は、僕この映画のクランクイン2日前までニューハーフの役をやってたんです。その役柄を多少ひきずってたのかもしれないですね。というか、確実にひきずっていたと思います(笑)。眉毛もなかったりするし。体つきもちょっとムチムチしてますね。あの頃は重い扉も手で開けないようにしてましたから。体重ってすぐ落ちるんですけど、筋肉って落ちないんですよ」
今目の前でそう話す金子は、“ムチムチ”という言葉には全く不似合いの、引き締まった体つき。誰が見ても格好いいと認めるに違いない正真正銘の “男前”だ。外見は天性のものとはいえ、スタイルを継続していくのは、日々の努力の賜物だろう。
「それが鍛えてないんです。僕ジム行くのが嫌いで。だから今は家で腕立て伏せだけをやってますね。男は胸板を鍛えればいいかなと思って。筋肉番付の頃は100回とか200回とかやってましたけど、あれは数をこなせるやり方なので筋肉はつかない。だから、10回でも効果が出るやり方を教えてもらって、1日3セットくらいしています」
見た目より中身を磨く方が大事だと思う
金子昇
ジムは嫌いだといいつつ、キツイ腕立て伏せは欠かさず行っているという金子。やはり金子にとって見た目の良さは男前の条件なのだろうか。
「男は、見た目はどうだってよくないですか。まあ同じ中身の人たちがいたら、格好いい人をチョイスするとは思うんですけど、そんなパターンはあり得ないので、見た目はとりあえず清潔にしてればいいと思いますよ。実際僕が憧れる人たちってきれいなタイプじゃないんですよ。見た目は人の判断なので、どうでもいいかなと思っています。それより中身を作るほうが大事だと思って行動しています」
 イケメンであることにあぐらをかかず、中身も磨く努力をしているという金子。理想の男前とはどんな人なのだろうか。
「やりたいことを、責任をもってやっている男の人は格好いいと思いますね。あと周りに気遣いがきっちりできてる人もすごく格好いい。僕も50歳くらいで、その中身を掴み取れるようになりたいですね。50歳までは長いな。45歳くらいでは達成して、残りの5年くらいできゅっとみんなの気持ちをわしづかみしたいです!」
年を重ねるごとに、見た目も心も男前になっていく金子が見えた気がした。これからますます楽しみである。


『苦い蜜〜消えたレコード〜』
脚本・監督/亀田幸則
出演/金子昇、池上季実子、田中健、中西良太、高橋ひとみ他
5月8日(土)〜21(金)大阪・シネマート心斎橋、6月下旬より京都シネマにて上映
(C)2010『苦い蜜』製作委員会 (公式サイトhttp://www.nigaimitsu.com/
建築デザインの世界でイラストレーターとして活躍する一方、各企業のプロモーションビデオを手がけ、数々の舞台の作・演出も行ってきた亀田幸則の長編2作目。長回し、一発撮りを多様することで、舞台さながらの密室劇を作り上げた。登場する個性的な14人のキャラクターを通して、監督の「もの作り」に対する熱い想いもひしひしと伝わってくる。ビートルズファン、映画ファンはもちろん、ミステリーファン、舞台ファン、そして、仕事に対して熱い想いを持つ男たちも必見である。
取材を終えて…金子昇のここが男前
凛々しい眉毛にキリリとした目元。スタイルも良くまさに絵に描いたようなイケメン。男前=クールなのかと思えば、「クールになりたいんですけど、続かないんですよ(笑)」と、ざっくばらん。何でも本音で話してくれる、親しみやすい姿勢は、かえってクールな人よりも男前に思えた。元々、食事は肉とカップラーメンばかり食べてしまっていたという金子だが、現在は、野菜を多く食べるようになり、野菜だけの日もあるとか。その変化の原因は? 「僕がやってるというより、嫁がやってくれるんです」。‥‥男前への道は、支えてくれる良き女性の影があるということなのかも。
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