坊主バー
御堂筋三津寺町の交差点をアメ村の方向に曲がって一筋歩くとちょっと年期の入ったビル、日宝三ツ寺会館がある。ここのビルには“ミナミの九龍城”と呼ばれるほど個性的な店々が建ち並び、訪れる人も多い。
その階段を上がった二階の奥に何やら不思議な雰囲気の漂ったバー「坊主バー」がある。名前を聞いただけでも気になる。坊主バーとは一体なんだ?
坊主がたくさんいるのか?
説法をといてくれるのか?
いろいろな妄想を巡らせる。期待と不安が入り混じる中、「坊主バー」の門を叩いた。
「こんにちは〜」入ってすぐ見渡せるほどの店内に、坊主の姿はなかった。
坊主がどこから出てくるのか少し期待しながら店内を見回す。
そこにいるのは黒いレースの服を着た女性ただ一人だった。
「あの〜・・・」まだどこかに坊主が潜んでいるかも知れない。
「いらっしゃいませ。」とにこやかにもてなしてくれたのはここの店主の微玲(みれい)さんだ。
「ここでは坊主が説法とかをしてくれるバーなんですよね?」本棚には仏教の本がずらっと並んであり、壁には曼荼羅の掛け軸、店内の至るところに仏具が置いてあった。
誰もが理解できる言葉で語る仏教。それを語り合う場所。
「いえいえ特に説法はしていませんよ。昔はよくお客さんと話しましたけど。」と微玲さん。「じゃあ哲学か何かを熱く語る所なんですよね?」「いえいえ、仏教からキリスト教から無宗教からなんでもアリです。」ちょっと拍子抜けはしたものの日本酒を片手に豪快に笑う微冷さんと私との間に和やかなムードが漂った。
店の中に小さな階段があって上階はゆっくり過ごせる座敷部屋がある。ここでは時々、一般の人も含め落語会が催される。
カップルはもちろんのこと、ビジネスマンをもターゲットにしている「坊主バー」は、都心に身を置きながら、非日常を感じることのできるホテルである。
会話を大切にしたいから、カラオケは付けません(笑)。
落語会が催されるだけあって、落語家はもちろん、いろんなタイプのお客さんが来る。男も女も分け隔てなく、来るものを拒まない。
店内は狭いけれどその分会話が良く聞こえて話がしやすい。
音楽もうるさくない程度にかかっている。なるほど、時を忘れて語り合い誰もが夜更かししてしまう訳だ。
気が付いたらリラックスして長く居座ってしまっていた。
「坊主バー」の魅力は少しずつ伝わる。ここは奇をてらっていない誰もを寄せ付けるバーなのだろう。
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